ご挨拶
世界では様々なことが起こり、まさにVUCAの時代を実感するところです。どのような状況になろうとも、子どもたちには自分の人生をしっかり歩んでいってほしいと願っています。私はこれまでの40年間の教員経験を通して、特別支援学校が担う役割には二つのことがあると考えています。
一つは、子どもたちの可能性を引き出し、卒業後の人生をしっかり歩んでいける力を育むこと、そしてもう一つは子どもたちが生きていく社会を特別支援学校の教育活動を通してよりよいものにしていくということです。
本校では、「自己理解」「コミュニケーション力」「レジリエンス(たくましさ)」を「子どもたちに身につけたい3つの力」と捉えることにしました。
これまでの教育はどうしても「学校完結型教育」に終始する傾向にあり、これらの力をより一層高めるためには、学校生活ではできない様々な経験や学びの場が必要です。その方策として「地域一体型教育」への移行を行うことといたしました。本格実施は令和8年度からになりますが、現在はその助走期間と位置づけています。これまでも学校で学び、時々地域へ出ていくといったことはありましたが、どうしても単発のイベントになってしまうことが多くみられました。地域での教育活動をより効果的なものにするためには、地域での活動をイベントではなく、日常にしていくための教育課程が必要です。しかも子どもたちの生活年齢や発達段階を考慮しながら、小学部から高等部までの系統性や一貫性を意識した編成にすることが大変重要になります。
令和8年度からの新たな教育課程による教育活動の展開は、子どもたちが必要な力を身につけるだけでなく、社会づくりに貢献するものであると考えています。これは特別支援学校が担う役割の二つ目にあたるものです。
本校の子どもたちが地域の皆様と関わりながら教育活動を展開することは、地域の皆様の障がいというものに対する理解をより一層深めることができるかもしれません。社会の人々の障がいに対する理解が深まれば、子どもたちにとって今以上に生活しやすい社会に変化することが期待できます。このことは、子どもたち自身が社会づくりに貢献するということにほかなりません。
本校としましては、子どもたちが自立と社会参加のために必要な力を育むことと子どもたち自身がよりよい社会づくりに参画していくことをしっかり推進してまいります。
これらのことは学校だけで実現できることではありません。保護者の皆様や地域の皆様と連携し、協働することで意味のあるものになると考えています。
保護者の皆様、地域の皆様、本校職員は一致団結してこのことに取り組んでまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
校長 中戸川 伸一
更新日:2025年04月22日 09:05:22